錦市場は京都市内の中心地である四条通りの1本北側にある通りで、錦小路通の寺町から高倉まで長さおよそ390メートルある商店街です。「京の台所」とも言われており、古くから京都で一番栄えている市場としてさまざまな食材を扱ってきました。

その歴史はとても古く、豊富な地下水を利用して京都御所へ新鮮な魚を納める店が集合したことが始まりで、平安時代には既に存在したと言われています。地下水の温度は一年を通して15~18度という水温を保っており、この地下水を利用した「降り井戸」が当時の生鮮食材を保存する冷蔵庫がわりになっていました。室町時代の応仁の乱で一時期その機能を失ってしまいましたが、豊臣秀吉が京都の街並み改めた16世紀に復活します。その後、江戸時代になると関西地方を代表する魚市場として栄え、明治時代になって現在のようにさまざまなお店がひしめくように発展しました。
扱っている食材は、京野菜を始めとして琵琶湖の川魚や関西で重宝される鱧やぐじ、湯葉や生麩など京料理の料亭や割烹はもちろんのこと、おばんざいと言われる京都の家庭料理にも使われる新鮮な商品が集まっています。店舗数はおよそ130軒ほどで、午前中はプロの料理人が仕入目的訪れ、午後には主婦が買い出しに、夕方にはお惣菜を求めるビジネスマンらの姿が見られるなど、京都の美食家たちを支えているということを実感できます。このように京都の台所を支えている錦市場ですが、近年では観光スポットとしても注目を集めています。その品質と豊富な種類はスーパーや百貨店とは大違いで、市民・地域との密着度も高く、京都独特の食文化に触れられる場所として人気です。
日本人ばかりではなく海外からの観光客からも人気で、英語表記がされている商品も少なくありません。その人気の秘密は「食べ歩き」にあります。新鮮な魚をすり身にして揚げた串天や、片手で持ちながら歩くことができるスイーツなどの食べ歩きグルメを販売している有名店が数多くあり、さまざまな媒体で紹介されたことで人気に火が付きました。京都ならではの珍しい料理や素材を、一口サイズのリーズナブルな価格で楽しめるのが魅力です。そんな食の宝庫である錦市場は、四条通りの地下を走っている阪急河原町駅が最寄り駅です。
ロケーション的にも新京極もしくは寺町京極通りを北に歩けば入口と接続しているため、迷うという心配はありません。京都に旅行に行く場合は、是非訪れてみてはいかがでしょうか。